体に関する考え方は、西洋医学に始まり民間療法に至るまでいろいろな考えが存在しております。そして、どの考え方にも多種多様の言葉が整然と使われ、時には簡単な言葉で、そして時には難解な言葉で理論を説明しております。
確かにそれぞれの考え方に、それぞれの優れた要素があると思われます。そして、その技術ごとにも、技術水準というものがあり、その技術差はピンからキリへと続き、残念なことに素人目にはその違いを理解することが出来ない可能性があります。なぜなら技量的に、また、能力的にそのレベルがピンであろうと、キリであろうとその技術的な内容の説明には、必ず同じ言葉が使用されます。ですから、言葉をもってその技術内容や技術レベル、また、他の技術との効果の違いなどは知りようがありません。
私の専門である整体術や気功術においても、言葉の説明ではどこにも勝つことが出来ません。それはそれは見事な説明がなされております。ただし、私は専門家ですから、その言葉の節々にいろいろな穴があることが分かります。
その言葉の穴とは、言葉と結果の関係において、初めて技術的な裏付けがなされます。しかしながら、一般論的な会話の中で表現されますと、その違いは隠されてしまいます。
整体などでは、よく使われる身体の問題として、身体の歪みやひずみという言葉が多用されます。
では、体の歪みとは何を意味しているのでしょう。体のゆがみとは何を意味しているのでしょう。ただ単に、背中が丸まっている、背骨が湾曲しているなどと申しても、丸まっていることが歪みなのか、背骨が湾曲していることが歪みなのか。逆を言いますと、丸まった背中を真っ直ぐに伸ばせば、身体の問題が解決するのか。また、例えば、左に背骨が大きく湾曲していた場合、右に倒すと良いのか、それとも真っ直ぐになるのが良いのか、という話が最初にくるはずです。
しかし、シモザワ整体の力学療法から、表現させていただきますと、この考え方の延長上には、私どもが述べる歪みの解消は出来ません。歪みという言葉を同じように使っても、歪みにという言葉に対する使い方がまるっきり違うのです。つまりシモザワ整体力学療法における歪みとは、歪みに関する定義づけをなくしては、言葉だけで表現し得る状態ではないと言えます。
話は複雑になってきましたが、体の本当の姿は、もっともっと複雑です。一般的に【体の歪み】や【体のゆがみ】という言葉は、単純な外形的な違和感のある形状を述べますが、実際には、その違和感のある形状を作り出す、様々な体の核部分との関係における、力学的な問題が存在しております。この力学的な問題の理解をなくしては、同じように使われる体の歪みや、ゆがみという意味がまるで違ってくるのです。
このように体で説明するととても難しいのです。そこで自動車に例えて考えてみましょう。
「あなたの車、歪んでいますよね」と言った場合、その車は多くの場合で事故車という意味になります。」
例えばハンドルを真っ直ぐの状態で運転していても、どちらかに曲がってしまう、そんな状態で自動車整備工場に持って行きますと、自動車の足回りであるホイールアライメントの狂いか、タイヤの片減りを疑うでしょう。
つまりこのことは自動車の足回りの狂い、即ち足回りに起きた歪みということになります。
また、車のドアを何かにぶつけてしまい、開かなくなってしまった。つまりこの状態は、自動車のドアの歪み、ということになります。
このように自動車における歪みとは、歪みを起こす明らかな原因があり、また、歪み状態によっての明らかな問題が存在しております。
しかし残念なことに、体の歪みや体のゆがみと表現した場合、具体的な症状との一致や解決方法のメカニズムとは一致していないことが多いのです。
即ち、治らないということが待ち受けております。
言葉とは本来、厳密なものでなければいけません。しかしながら、現実の問題としては、言葉を超える詳細な表現は、あまりにも専門的になり過ぎて、判断出来る人がいなくなってしまうという欠点があります。
これらの問題を越えていくことでしか、良き未来は近づかないとも言えるかも知れません。
2016/6/15