以前に『心の視力』(太陽出版) という本を書きました。サブタイトルとして「おもしろいほど気功で分かるあなたの潜在意識」というお話がテーマでした。
この本を読んで潜在意識のことを理解出来たと感じた人は、ごくごく少数ではないでしょうか。
そうです「潜在意識とは基本的には分からないもの」と理解することが大切です。
実は私が創設した慧真導気功術の基本は、人間の持つ心の問題がテーマとなりました。
外気功という難しいとされている気を有効に操作するために、絶対的に必要として発見したのが「気と心の関係」でした。
しかも心の基となる意識の世界、特に潜在意識という、本人が理解し難い意識の存在と、気の深い部分でのコントロールが一致したのです。
慧真導気功術という独自の世界は、既成の気功の常識を壊し続けました。さらに、慧真導気功術の進化と共に、心の学問としての心理学の領域における常識も壊していったのです。
潜在意識の世界を100パーセントお話することは、残念ながら出来ません。技術的に出来ないというより、簡単に言葉では教えてはいけない世界が数多くあったのです。
しかし、私たちが社会生活を送る上では、そこまでの深い領域の潜在意識の意味を知る必要はありません。むしろ、人々が人生の中で少しでも充実した人生を送ることを活用の目的としていただきたいと感じ「心の視力」という風変わりな本を書いたのです。
例えばフルマラソンに参加した生徒のお話で少し種明かしをしますと、フルマラソンの経験が無い方が短期間でその距離を走りきろうとすれば、その肉体的な負担もさることながら、精神的な負担はさらに厳しいものになります。多分、普通の方の人生の中で、突然フルマラソンを走るというような厳しいハードルを越える経験をされた方はほとんどいないのではないでしょうか。
実は、初めてフルマラソンに参加し、42キロ以上を走りこなす(たとえ歩いても)という精神力は、人の持つ表面的な意識だけでは成功しません。心の奥底で何らかの理由で走りきらなきゃいけないという絶対的な目的が無ければ成功しません。
そして、もうひとつ体の問題として、マラソン経験の無い方がこのようなチャレンジを致しますと、マラソン経験者が使わない筋肉までフルに参加しなければ、この目標をクリアすることが出来ないのです。多分これに似たような経験は皆さんもしているはずです。
小学校の運動会の種目にあった綱引き、綱を持つ両手越しに伝わってくる相手チームの引く力、なぜか反射的に引き返している。しかも、本人の持つ力のすべてを出しきってしまう。その結果、運動会翌日の筋肉痛は、走ったこととは関係がないと思われる体の部分に筋肉痛が広がっている。これはまさに同じような全身運動の結果です。
歌が極端に下手な人、音程が外れる人など、いわゆる世間では「音痴」と言われている人たちは「耳が悪いのだ」という常識があるようですが、実は体のある一部の筋肉的な偏りや、歪みが原因なのです。つまりバランスの良い全身運動を行うことで、音を狂わせていた体の歪みが緩和されることで上手に歌を歌うことが出来たのです。
私は、今でも教室で歌を教えることがあります。自慢じゃないですが、私自身もかなり歌は下手なのですが、人に教えることは出来るのです。私は一時期までは声が1オクターブしか出ない状態でした。1年ほど自己訓練をし、3オクターブほど音が使えるようになりましたが、その後体を壊し今はまた音域が狭まっている状態です。
普通の方であれば、そこまで体を壊していないので、体の歪みを解消することで歌を上手に歌うように指導することも可能なのです。
「心の視力」の本で書きました、フルマラソンの参加と歌の音痴の関係は、このような形で潜在意識が動くことで全身運動として良い結果をもたらした、分かりやすい事例です。
このように潜在意識とは、人が何か難しいことにチャレンジする時に、その人の持つ陰の姿つまり潜在意識が結果に作用させるのです。逆説的な表現を取りますと、自分の潜在意識をコントロールするのはむしろ簡単なことだと考えるとよいでしょう。
そのためには変な言葉の理解をするよりも、何事にも負けずに頑張り抜く心を常に大切にすることがとても重要です。この本には記載していませんが、潜在意識力を良い方向にもって行くためには、気配りというのもとても重要な方法です。しかもこの気配りという手法は、なるべく利害関係のない人たちに使えると良いでしょう。
2018年 1月 8日